CONVERSE WEAPON 30TH | HISTORY OF WEAPON


Los Angeles Lakers v Sacramento Kings

Photo by Rocky Winder/NBAE/Getty Images

 

80年代のNBAシーンで華々しくデビューし、バスケットボールマーケットに多大な影響を与えたウエポン。コンバースの貴重なアーカイブとして30年の時を経て復刻する名作のヒストリーに迫る。

コンバースの長いバスケットボールシューズの歴史においてウエポンは、NBAとともにマーケットに大きなインパクトを与えた一足だ。

もちろんコンバースには、チャックテイラーやプロスターやオールスタープロなど、多くのバスケットボールシューズの秀作が存在するのだが、1986年に発売するにあたってウエポンに込められたコンバース社の思惑は、当時大きな意味を持っていたのだという話を聞いた事がある。

ウエポンをデザインしたのはケビン・クローリー。1980年前半から1990年頃までコンバースのバスケットボールシューズを手がけてきた男だ。

その後、フィラに移籍しグラント・ヒルのシグネチャーシューズを手がけた。

「当時、コンバースにとってずっとアディダスがコンペティターだった。特にバスケットボールシューズにおいて両ブランドが市場を争っていた。そこに1984年、マイケル・ジョーダンがナイキと契約しエア・ジョーダンを発売して、その様子は一気に変貌したんだ」とクローリーは言う。

当時にすれば奇抜ともいえる、黒と赤のカラーリング。NBA規定を無視して罰金を科せられながらもこのセンセーショナルな色のシューズを履くジョーダンが現れた事で、コンバースの争うべき相手は一気にアディダスからナイキへと変わった。

1987 NBA Finals: Boston Celtics vs. Los Angeles Lakers

Photo by Andrew D. Bernstein/NBAE/Getty Images

 

「シューズビジネスは常に強豪との競争の毎日だった。デザイン、広告宣伝、どの選手と契約するかでブランドのアイデンティティーが決まっていった。70年代後半から80年代前半に、コンバースはプロレザーを発売しアメリカで絶大な人気を得ていた。プロレザーに対抗すべく、すでにスーパースターを発売していたアディダスは、販促宣伝にRUN DMCを起用しファッションへ注力した事で売上げは大きくなった。しかし実際にプレーをする選手達の間での信頼度はプロレザーの方が高かったと私達は見ていたんだ。

まして、コンバースはすでにNBAのスーパースターの双璧、マジック・ジョンソンとラリー・バードと契約していて、自分でも今思えばコンバースのバスケットボール人気は揺るがないし、他のブランドに負ける気がしていなかった。そんな時にエア・ジョーダンが現れ、これはあぐらをかいている場合じゃないと会社の中にも緊張感が走った事を今でも忘れられないよ」。

そして、クローリーの元へマジックとバードを起用しジョーダンと対抗すべく製作命令が出たのがウエポンだった。

「シューズの機能ではナイキに劣っている部分はほぼなかった。コンバースはNBA選手の使用率でもナイキに差をつけていたしね。しかし、一般の消費者にとっては機能よりも見た目がクールなシューズが重要なんだという事を再確認して、ただちにウエポンのデザインに取り掛かったんだ。

僕がウエポンをデザインする上で重要視した事は、機能性とクールな見栄えを両立させる事にあったし、他のブランドと一見して違うシューズにしたかった。当時はまだまだシューズ業界のデザイン性は発展途上で、ほとんどのシューズデザイナーはブランドのロゴマークをサイドに配置する事で他ブランドと差別化するぐらいの事しかできていなかったんだ」。

サイドのシェブロン・アンド・スターはコンバースの名作のひとつであるワンスターと同じようにレザーをロゴの形にくり抜き、足首にかけてのY型のパーツは足首のホールド感を高める機能がデザイン性をも高めた。そして、クローリーが一番気を配ったのが、アッパーの色を3色以上組み合わせてカラーリングした場合に、決して平面的にならずにアクティブなイメージが持てるデザインだった。

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「ラリーは性格的にも質実剛健なところがあって、またセルティクスの伝統にならって真っ黒に白のシューレースをつけるのを好んでいた。マジックはレイカーズのチームカラーをふんだんに使ったパープル&ゴールドを好んだ。しかし二人ともひとつだけ共通点があって、シューレースをレースアップする時にシューズの左右の羽根部分がぴったりと近くなるぐらいまで、シューレースを締め上げたいというリクエストだった。そのため、実際に二人がボクシングシューズを履く時のように、シューレースをタイトに締め上げた状態を完成形と考えてシューズのデザインをした事も、今までのコンバースのシューズにはなかったデザインだよ」。

実際に市場で消費者がウエポンを履く時も、このマジックやバードの履き方にならってタイトにシューレースを締めて履くのがウエポンの履き方のお手本にもなり、こういう細部にこだわった取り組みが当時のスニーカーカルチャーを作っていたという、重要な一例でもある。

30年の時を経て復刻を果たしたウエポンは、オリジナルのディテールを忠実に再現しつつも、機能性は現代バージョンにアップデートするコンセプトラインTimeLine(タイムライン)で登場したブラック/ホワイトのハイトップ「WEAPON 86 HI」。そして、オリジナルでは展開されなかったスエード素材のアッパーが上品に映える「WEAPON SUEDE OX」が、ウエポンを象徴するネイビー/ホワイトとグリーン/ホワイトカラーで再現された。


細部までこだわり抜いたクラフトマンシップが随所に見られる「WEAPON 30TH」のプロダクト。懐かしくもあり新鮮に輝くシェブロン&スターのロゴが、再びストリートシーンを賑やかしている。

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90 年から NBA を取材し執筆活動を続ける。NHK-BS で NBA 解説も行う。一方で THE DAUGHTERS、DIFFEDUCATION、T6M、The Tastemakers & Co. を主宰する。

YOICHIRO KITADATE /北舘 洋一郎

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WEAPON 86 HI/¥18,000

コンバースの新限定ライン「タイムライン」で待望の復刻を果たしたのは、ブラックレザーのラリー・バード モデルを再現。そのクオリティーには脱帽する。

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WEAPON SUEDE OX/¥13,000

発売当時のディテールを忠実に再現しつつ、アッパーにはスエード素材を採用しオリジナルカラーのグリーンとネイビーの2カラーをラインアップ。

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